和風ホテル「一富久」に関する真面目なお話とか..........
朝からバックの修繕。そして器を梱包して出荷作業の一日でした。
昨夜の「余談......」にアップした写真とについてのことを少々......
陶器の意匠に文字が使われることは随分昔から有りますが、オーソドックスなのは
福、吉、壽、祭、祝、雪月花、などなどが有ります。
(漢詩系まで入れると相当多くなってしまいますが・・・・)
今回仕上げた食籠(茶道で使う菓子器)の意匠が
赤玉と独楽筋紋様の私のアレンジでということだったのでこの「富久」を使って
言葉遊びをしてみました。
結論から言えば「富久」はいうまでもなく「福」の当て字です。
正確には「福」が「不苦」となり「富久」となるのですが、コレにはちゃんと所以があります。
江戸時代の教示にある
『遠仁者疎道(おにはそと) 不苦者有智(ふくはうち)』
(漢文読みは「苦しまざる者は智有り。仁に遠き者は道に疎し。」)
意味は「仁に遠い人、つまり思いやりのない人は人の道に疎く、苦を超越した人は悟りの智慧を持つ」
という文章から「福」→「不苦」
「不苦者有智」を「富久者有智」と表記する文章もあり、
「不苦」→「富久」に置き換えて絵付けしてあります。
(表記の見た目が「富久」のほうが茶事に適しているかと感じました)
古の陶磁器に「富久」が意匠されたモノを見た事は私も有りませんが、
こういう言葉遊びも面白いかなと思っています。
それにしても、
「福」(幸せ)とは「不苦」(苦しみを超越し悟りをひらく事)という事であれば
幸せになりたいのであれば、目先のものに左右されず、
もっと心を豊かにするような精進をせねばと考えさせられます。。。。。。。
(嗚呼、煩悩だらけな私。。。。。)
そんな所以をふまえた上でつけられた名前が『和風ホテル「一富久」』だったのならば、
色々な解釈が出来て相当面白く、そして深いのかなと想像、妄想しまくっていた私です。
余談ですが.....
最近制作してる写し要素が強い器には「不九」の文字を浜印にして入れています。
コレも「福」の当て字で、古伊万里や古九谷にみられた約束事のカクフク印の
自分流アレンジというか遊びです。(他のパーターンもありますが。。。。。)
器を選ぶ際や、使った時の話題のひとつになればと思います。
昔からあった意匠やデザインやカタチの組み合わせの中に”隠語”的な意味合いを込めるという遊びを、
出来るだけ自分流にやってみたいと最近は考え中&実行中です。